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『サメ胴』の正体 |
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サメ胴と言えば、中心に白い大きな親粒がありまわりに白い小粒が配置されているのが印象的である。
この革の正体は、実はエイの革を使用している。
サメ胴というのに何故エイの革を使用しているのか、その答えは、エイの背中にもつ楯鱗(じゅんりん)にある。
楯鱗とは、あの印象的な白い粒のことである。
楯鱗は、人間の歯と同一の構造であり基本的には、エナメル質・象牙質から出来ている。
いわば皮膚に生えた歯である。
「鮫肌」という言葉があるが、その言語は楯鱗が体表に配列し、皮膚の表面が、ザラザラする事から生まれた言葉である。 サメは楯鱗が発達しており全種類のサメがその楯鱗で体表を覆っている。 |
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しかし、エイのように凹凸がなく鮫肌という言葉通り、ザラザラは実に細かく一様の大きさをもつ種類が多い。
さらにサメには、背ビレ〈フカヒレになる部分〉がある為、胴のサイズに適すものが、なかなかいない。
サメの中でも、ごく稀に変わった楯鱗をもつキクザメなどがいて、刀剣の柄に用いされる事もある。
紀伊勝浦にサメ専門の魚屋があり話を伺ったが、現在はキクザメのような特殊な楯鱗をもつサメは、あがらないという。 |
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又サメとは逆にエイの楯鱗は退化している傾向にある。
エイは種類により、サメ胴用や刀剣の柄になるあの独特な楯鱗をもつものと、楯鱗を全くもたないツルツルした体表をしている物がいる。
例えばマンタ〈イタリア語で毛布の意味〉という別称をもち、日本のダイバーの間では一番の人気を集め、大きさでも有名なオニイトマキエイなどは、楯鱗をもっていない。
しかしエイはサメに比べ底生動物で、海底の砂の中に身を隠しながら外敵から身を守る種類が多く存在し、唯一背の部分が外敵からの攻撃の弱点となる為、サメにはあまり見られない強固で凹凸感のある楯鱗が必然的に発達していると考えられる。
又、エイの中でもガンギエイ科とアカエイ科は特に楯鱗が発達しており、これが主に刀剣の柄や大型な物はサメ胴の革として用いられている。
魚類は、硬骨魚類と軟骨魚類に分かれ、後者は大きく板鰓(ばんさい)亜綱と全頭亜綱に分けられる。
板鰓類は、サメ・エイを含む大きなグループで全頭亜綱は、ギンザメ類を含む少数のグループである。
エイの種類の中には、サカタザメという名を持つ種類もいてエイの種類なのにサメの名前がつくエイもいる。
サメとエイは別々の種類に見られがちだが、ある説によれば、「エイはサメから進化し体形に若干の違いこそあれ、サメにほかならない」と専門家はいう。
ようするにサメとエイは、いわば親戚のような関係である。
余談ではあるが世界の三大珍味のキャビアで知られるチョウザメはサメの種類ではなく、硬骨魚類に分類される。
全世界で現在サメは約400種、エイは約600種ほど確認されている。 |
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